自分の価値観を知る方法。「心が動いた場面」と「迷った場面」から見つける3つの書き方と、価値観リスト50

自分の価値観を知る方法。「心が動いた場面」と「迷った場面」から見つける3つの書き方と、価値観リスト50

2026/10/23

  • #自己理解

  • #ふりかえり

「あなたが大切にしている価値観は何ですか」と聞かれて、すぐに答えられるでしょうか。

転職の面接で聞かれて言葉に詰まった。キャリアの面談で書いてくださいと言われて、ペンが止まった。ネットで価値観リストを見つけて眺めてみたものの、「誠実」も「成長」も「家族」も、どれも大事に見えて選べなかった。そんな経験から、この記事にたどり着いた人もいるかもしれません。

この記事では、自分の価値観を一覧から「選ぶ」のではなく、自分の出来事の中から「見つける」やり方を紹介します。手順は、心が動いた場面を書き出す、迷った場面で選んだほうを書く、3つの言葉を選んで1週間確かめる、の3つです。言葉を選ぶときに使える価値観リスト50と、記入例3人分もまとめました。ノートとペンか、スマホのメモを用意して読み進めてみてください。

価値観は「選ぶ」より「見つける」ほうが、自分の言葉になる

価値観リストを見ても選べないのは、よくあることです。一覧の言葉は、どれも「良いこと」として書かれているので、並べて見るとどれも大事に見えるのが自然です。

人の価値観について長く研究してきた心理学者のシャローム・シュワルツは、価値観の特徴をいくつか挙げています。その中に、この記事の手順の土台になる説明が2つあります(Schwartz, 2012)。

ひとつは、価値観は気持ちと切り離せないということです。大切にしていることが関わる場面になると、人はうれしくなったり、腹が立ったりします。

もうひとつは、ふだんの判断で価値観を意識することはめったになく、大切なもの同士がぶつかったときに意識にのぼるということです。どちらも大事なのに、どちらかしか選べない。そういう場面で、自分が何を先にしているかが表に出ます。

だとすると、価値観を知る近道は、言葉の一覧を眺めることではなく、自分の気持ちが動いた場面と、迷った場面を思い出すことです。シュワルツは、価値観には人それぞれの優先順位があるとも述べています。全部が大事なのは本当でも、その中に順番はある。その順番を、自分の出来事から確かめていきましょう。

自分の価値観を知る3つの書き方

ステップ1:心が動いた場面を3つ書き出す(10分)

最近1か月くらいを思い出して、気持ちが大きく動いた場面を3つ書き出します。うれしかった場面だけでなく、腹が立った場面や悔しかった場面も入れてください。価値観は、それが守られたときにはうれしさとして、踏みにじられたときには怒りやもやもやとして表に出るからです。

それぞれの場面に、次の2つの質問で答えを書き足します。

  • その場面で、何が守られた(または、踏みにじられた)と感じた?
  • それが守られることは、自分にとってなぜ大事?

たとえば「会議で、後輩の案が最後まで聞かれずに流されて、腹が立った」なら、踏みにじられたのは「一人ひとりの考えが聞かれること」かもしれません。ここではまだ、きれいな言葉にしなくて大丈夫です。自分が口にしそうな言葉のまま書いておきましょう。

ステップ2:迷った場面を1つ書き、選んだほうを書く(10分)

次に、最近「どちらにするか」で迷った場面を1つ思い出します。残業を引き受けるか、家に早く帰るか。誘われた飲み会に行くか、一人で休むか。新しい仕事に手を挙げるか、いまの仕事を丁寧に続けるか。小さな迷いで構いません。

書くのは次の3つです。

  • 何と何の間で迷った?
  • 結局、どちらを選んだ?
  • 選ばなかったほうの、何が惜しかった?

迷ったということは、どちらにも大切なものがあったということです。そして選んだほうには、そのときの自分がより先にしていたものが出ています。選ばなかったほうの「惜しかったこと」も、消えた価値観ではありません。2番目、3番目に大切なものとして、メモに残しておきましょう。

ステップ3:3つの言葉を選んで、1週間確かめる(1週間・毎晩1分)

ステップ1と2で書いた言葉を見ながら、下の価値観リストから近い言葉を探し、3つだけ選びます。リストにぴったりの言葉がなければ、自分で作って構いません。

選んだ3つには、それぞれ自分なりの意味を1行添えます。たとえば同じ「誠実」でも、「約束を守ること」なのか、「できないことを、できないと言えること」なのかで、意味はかなり違います。この1行があると、借りてきた言葉が自分の言葉に変わります。

最後に、1週間だけ確かめます。毎晩寝る前に、「今日、3つのうちどれが動いた?」を1行で書いてみてください。1週間たって一度も出てこない言葉は、本当は別の言葉だったのかもしれません。逆に、リストになかった言葉が何度も出てきたら、それが入れ替えの候補です。週末にまとめて確かめたいときは、1週間の振り返りのやり方の3ステップもあわせて使えます。

価値観リスト50(10のグループ別)

言葉を選ぶときに使えるリストです。シュワルツが整理した10の価値のグループを手がかりに、ふだん使う言葉で5つずつ例を並べました。言葉の選び方はこの記事の例で、研究で使われる質問票そのものではありません。

グループ言葉の例
自分で決める自由/自分らしさ/好奇心/創造/自分で考える
新しい刺激挑戦/変化/冒険/わくわく/新しい経験
楽しむ楽しさ/心地よさ/ゆとり/遊び心/おいしいものを味わう
達成する成長/達成/成果/向上心/認められること
影響を持つ影響力/責任/リーダーシップ/豊かさ/自分の場所を持つ
安心・安定安心/健康/安定/秩序/備え
調和・礼儀礼儀/約束を守る/周りとの調和/信頼される/謙虚さ
受け継ぐ伝統/ふるさと/感謝/ていねいな暮らし/大切な習慣を続ける
身近な人を大切にする家族/友情/思いやり/誠実/助け合い
広く世界を大切にする公平さ/多様性/自然/平和/広い視野

シュワルツは、これらのグループが互いに引っぱり合う関係にあることも示しています。たとえば「新しい刺激」と「安心・安定」は、同じ行動で両方を満たすのが難しい組み合わせです。ステップ2で迷った場面が、ちょうどこうした組み合わせの間だった、ということもよくあります。どちらが正しいということではなく、どちらもあなたの中にあり、時期や場面によって前に出るほうが変わります。

記入例3人分

記入例1:営業職・入社5年目

  • 心が動いた場面:お客さんから「あなたに頼んでよかった」と言われてうれしかった/上司が数字だけで後輩を評価していて、もやもやした
  • 迷った場面:締め切り前の夜、自分の資料を仕上げるか、後輩の相談に乗るか→相談に乗った。惜しかったのは、自分の資料の出来
  • 選んだ3つ:信頼される(頼まれたことを、相手の期待より少し先まで返す)/助け合い(困っている人に、自分から声をかける)/成果(自分の仕事にも、最後まで手を抜かない)

記入例2:子育て中・時短勤務

  • 心が動いた場面:子どもが一人で靴をはけたとき、思わず声が出た/平日に自分のための時間が一度もなく、日曜の夜にいらいらした
  • 迷った場面:週末の朝、家族で出かけるか、一人で本を読む時間を取るか→1時間だけ一人の時間を取ってから出かけた
  • 選んだ3つ:家族(できるようになった瞬間を、そばで見ていられること)/ゆとり(1日に15分でも、自分のための時間があること)/健康(無理をしない日をつくれること)

記入例3:大学院生

  • 心が動いた場面:実験がうまくいかなかった理由が分かった瞬間、時間を忘れた/ゼミで、根拠のない意見が通っていくのが悔しかった
  • 迷った場面:就職先として、安定した大企業と、小さな研究開発の会社のどちらを第一志望にするか→まだ迷っている。惜しいのは、大企業のほうの「安心」
  • 選んだ3つ:好奇心(分からないことを、分かるまで追いかけること)/公平さ(意見は、根拠で比べられること)/安心(暮らしの土台が揺れないこと)

記入例3のように、迷いがまだ続いていても大丈夫です。迷っていること自体が、「好奇心」と「安心」の両方が自分にとって大事だと教えてくれています。

見つけた価値観を、毎日の中で使う

3つの言葉が決まったら、使いどころは大きく2つあります。

ひとつは、迷ったときの判断の手がかりにすることです。次に迷ったとき、「この選択は、3つの言葉のどれを大切にすることになる?」と考えてみてください。答えがすぐに出ない場面でも、何と何の間で迷っているのかが分かるだけで、考えが整理されます。人の意見や評価に振り回されやすいと感じる人は、自分軸の作り方もあわせて読んでみてください。

もうひとつは、目標の立て方に生かすことです。「資格を取る」「売上を上げる」のような目標も、自分の価値観とつながっていると、続ける理由がはっきりします。たとえば「成長」を大切にする人なら、「去年の自分にはできなかった仕事を、1つ任せてもらえるようになる」のように、価値観の言葉から目標を書き起こすこともできます。具体的な書き方は、目標の例文30選や理想の自分になるノートの書き方で紹介しています。

また、価値観は一度見つけて終わりではありません。毎日の小さな出来事について、「今日いちばん気持ちが動いたことは?」と1行だけ書く習慣は、価値観を見つけるふりかえりワークでも紹介しています。価値観以外の面から自分を知りたいときは、自分を知る質問40も使ってみてください。

ふりかえりの習慣化を、AIが伴走する。Stockrをはじめる

毎日の1行がたまるほど、自分の価値観が見えてくる

この記事のステップ1でいちばん時間がかかるのは、「最近、心が動いた場面」を思い出すところです。逆に言えば、その日に気持ちが動いたことを1行ずつ残しておけば、価値観を知るための材料は毎日たまっていきます。

その置き場所として、ふりかえりジャーナリングアプリStockrを使ってみるのもひとつの方法です。Stockrでは、その日の出来事や感じたことを1行からストックとして残せます。書くことが浮かばない日は、AIと話しながら文章にまとめることもできます。

はじめに大切にしたい価値観の言葉を選んでおくと、毎日開くホーム画面に、自分のビジョンと一緒に表示されます。また、ストックが5件たまると、最近のストックからAIが価値観を読み取る「価値観ワード診断」を試せます。自分で選んだ3つの言葉と、書きためた言葉から見えてきた価値観を比べてみると、ステップ3の確かめにも使えます。

まずは今夜、最近いちばん気持ちが動いた場面を1つだけ書き出してみませんか。その場面で「何が守られたのか」を1行書き足せたら、自分の価値観を知る最初の手がかりが、もう見つかっています。

よくある質問

価値観は、年齢や環境によって変わりますか?

大切にしている言葉そのものは大きくは変わりにくい一方で、どれをいちばん先にするかという順番は、時期によって入れ替わることがあります。たとえば子どもが生まれた年は「家族との時間」が「新しい挑戦」より前に来る、ということは自然に起こります。一度決めた3つの言葉を固定せず、半年に一度くらい、最近の出来事で確かめ直すのがおすすめです。

価値観診断を受ければ、この書き出しはいらないですか?

診断は、自分では思いつかなかった言葉に出会うきっかけとして役に立ちます。ただ、診断の結果はあくまで候補です。その言葉が自分に当てはまるかどうかは、この記事のステップ3のように、自分の最近の出来事に照らして確かめると分かります。診断の結果を価値観リストの代わりに使い、ステップ3だけ行う、という組み合わせもできます。

書き出しても、心が動いた場面が思い浮かびません。

大きな出来事を探さなくて大丈夫です。「つい時間を忘れていたこと」「人に話したくなったこと」「なぜかもやもやが残ったこと」のような小さな場面で十分です。それでも浮かばないときは、今日から1週間、寝る前に「今日いちばん気持ちが動いたこと」を1行だけ書きためてから、ステップ1に戻ってみてください。7行あれば、材料としては足ります。