ChatGPTに「今日の振り返りをして」と頼んだら、きれいに整った文章が返ってきた。読むと「たしかにそんな1日だった」と思えるのに、翌朝にはもう、何が書いてあったのか思い出せない。そんな経験はないでしょうか。
振り返りや日記が続かなかった人ほど、「AIに手伝ってもらえば楽に続くかもしれない」と考えるものです。実際、AIは振り返りのとても良い相手になります。ただ、頼み方によって、自分の考えが深まる振り返りにもなれば、読んで終わりの要約にもなってしまいます。
この記事では、AIに文章を書いてもらうのではなく、質問を出してもらうという使い方を紹介します。1日・仕事・1週間の場面別に、コピーしてそのまま使える頼み方を12個まとめました。今夜の振り返りで、ひとつ試してみませんか。
AIには「書いてもらう」より「聞いてもらう」
AIに振り返りを頼むとき、多くの人が最初にやるのは「今日あったことをまとめて」というお願いです。出来事を箇条書きで渡すと、AIはそれらしい振り返りの文章を書いてくれます。
けれど、その文章を考えたのは、ほとんどAIです。アメリカの大学の研究チームが、大学生にエッセイを書いてもらった実験では、ChatGPTを使って書いたグループは、道具を使わずに書いたグループに比べて、書き終えた直後に自分のエッセイの一節を引用することが苦手で、「自分が書いた」という感覚も最も低かったと報告されています(まだ専門家による審査の前の報告です)。振り返りでも同じことが起こるとすれば、AIが書いた振り返りは、読んだそばから自分の手を離れていってしまいます。
一方で、振り返りに質問があることには、はっきりした効果が知られています。ドイツの大学の研究チームは、講義の動画を見た学生に振り返りのノートを書いてもらう実験で、「内容をどう整理すると分かりやすいか」「まだ理解できていないのはどこか」といった質問を添えたグループと、何も添えなかったグループを比べました。内容の整理を促す質問を添えたグループのほうが、直後のテストでも、1週間後のテストでも、内容をよく理解して覚えていたのです。
AIの得意なことは、まさにこの「質問を出すこと」です。自分では思いつかない角度の質問を、その場の話に合わせて出してくれる。答えを考えて書くのは自分。この分担にすると、AIは振り返りを代わりにやる相手ではなく、振り返りを深めてくれる相手になります。
そのまま使える、AIへの頼み方12
ここからは、ChatGPT・Claude・Geminiなど、文章で会話できるAIにそのまま貼って使える頼み方です。どれも「AIは質問を出す・答えるのは自分」という分担になるように書いています。ひとつ選んで、今夜の振り返りで使ってみてください。
1日の振り返りを始めるとき
書くことが思いつかない日や、何から書けばいいか分からない日に使う頼み方です。
| # | こんなとき | そのまま貼る頼み方 |
|---|---|---|
| 1 | 何を書けばいいか分からない | 今日の振り返りを手伝ってください。答えは書かずに、質問を1つずつ出してください。私が答えたら、その答えに合わせて次の質問をお願いします。全部で3問まで。 |
| 2 | 今日が「何もなかった日」に思える | 「今日は何もなかった」と感じています。小さな出来事を思い出せるように、時間帯ごとに短い質問を1つずつ出してください。答えは書かないでください。 |
| 3 | 気持ちがもやもやしている | もやもやしていることがあります。原因を決めつけずに、何が起きて、どう感じたのかを言葉にできるような質問を、1つずつ出してください。 |
書いたことを深めたいとき
ひととおり書けたあとで、もう一歩だけ掘り下げたいときの頼み方です。自分で書いた文章を一緒に貼って使います。
| # | こんなとき | そのまま貼る頼み方 |
|---|---|---|
| 4 | 書いたけれど浅い気がする | 下に今日の振り返りを貼ります。直したり書き足したりはせずに、「もう少し詳しく知りたい」と思う部分について、質問を2つだけ出してください。 |
| 5 | うまくいった理由を知りたい | 今日うまくいったことを書きます。なぜうまくいったのかを自分で見つけられるように、質問を1つずつ出してください。理由の候補は言わないでください。 |
| 6 | 次にどうするかを決めたい | 下の振り返りを読んで、「明日、何をひとつ変えるか」を私が自分で決められるような質問を1つだけ出してください。 |
仕事の振り返りをしたいとき
会議・商談・プロジェクトなど、仕事の場面を振り返るときの頼み方です。社名や人の名前は「A社」「Bさん」のように置き換えて書いてください。
| # | こんなとき | そのまま貼る頼み方 |
|---|---|---|
| 7 | 会議や打ち合わせのあと | 今日の打ち合わせについて振り返りたいです。「何が決まったか」より「自分はどう動いたか」を思い出せる質問を、1つずつ3問出してください。 |
| 8 | 失敗して落ち込んでいる | 仕事でうまくいかなかったことがあります。責めるのではなく、次に活かせる点を自分で見つけられるような質問を、1つずつ出してください。 |
| 9 | 上司や先輩に言われたことがある | 今日、上司から言われたことを書きます。言われた内容を自分の言葉で言い直せるように、質問を2つ出してください。良い悪いの判断はしないでください。 |
1週間分をまとめて読むとき
1週間ぶんの記録がたまったら、まとめて読み直すときに使う頼み方です。その週に書いたものを貼りつけて使います。
| # | こんなとき | そのまま貼る頼み方 |
|---|---|---|
| 10 | 1週間をふりかえりたい | 下に今週の記録を貼ります。くり返し出てくる言葉や出来事を3つ挙げてください。そのうえで、私がどれを大事に思っているかを考えられる質問を1つ出してください。 |
| 11 | 自分の変化に気づきたい | 下に今週の記録を貼ります。週のはじめと終わりで、書き方や気持ちに違いがあれば、決めつけずに「こう読めました」と短く伝えてください。 |
| 12 | 来週の目標を決めたい | 下に今週の記録を貼ります。来週ひとつだけ続けたいこと、ひとつだけやめたいことを、私が自分で決められるような質問を2つ出してください。 |
最後の1行は、自分の言葉で書く
AIとのやりとりが終わったら、ひとつだけ大事にしてほしいことがあります。それは、その日いちばん残しておきたい一文を、自分の言葉で書くことです。
会話の中には、自分の答えもAIの言葉も混ざっています。そのまま全部を保存しておくと、あとから読んだときに、どれが自分の考えだったのかが分からなくなってしまいます。会話を見ながら「今日いちばん大事だったのはこれだ」と思う一文を、自分で書き直す。この1行が、AIとの振り返りを自分のものにする部分です。
もうひとつ、慣れてきたらAIの質問を少しずつ減らしていくのもおすすめです。先ほどのドイツの研究チームは、学期を通して振り返りノートを書く学生を調べた別の実験で、毎回質問を添え続けたグループは、学期の後半になると、質問を少しずつ減らしていったグループよりも理解度が下がったと報告しています。書くことに慣れてくると、外から出される質問が、自分で考える邪魔になってしまうのです。
はじめはAIに質問を出してもらい、少しずつ「AIならここで何を聞くだろう」と自分に聞けるようになっていく。それが、AIを使いながら振り返りの力を自分の中に育てていく道すじです。
自分で自分に聞くときの手がかりには、ふりかえりの質問集の質問をそのまま使うこともできます。
AIで振り返るときに気をつけたいこと
AIとの振り返りを安心して続けるために、3つのことに気をつけておきましょう。
ひとつは、人の名前や社外秘の情報をそのまま入れないことです。振り返りでは、同僚やお客さま、家族のことを書く場面も多くあります。「Aさん」「ある案件」のように置き換えても、振り返りには十分です。会話の内容がAIの学習に使われるかどうかはサービスや設定によって違うので、一度、設定画面を確認しておくと安心です。
ふたつ目は、AIの言葉を正解だと思いすぎないことです。AIは、それらしい言葉をすらすらと返してくれますが、自分の気持ちや状況をいちばん知っているのは自分です。AIの読み方が「なんだか違う」と感じたら、その違和感こそが、自分の考えを知る手がかりになります。
みっつ目は、気持ちがつらいときは人に話すことです。AIは振り返りの相手にはなれますが、つらさが何日も続くときは、信頼できる人や専門の窓口に話すことを優先してください。
Stockrなら、AIと話した振り返りを1行ずつ残していける
AIとの振り返りで書いた「最後の1行」を残していく場所として、ふりかえりジャーナリングアプリStockrを使ってみるのもひとつの方法です。
Stockrでは、その日の出来事や気づきを1行からストックとして残せます。書くことが浮かばない日は、AIと話しながら文章にまとめることもできます。書いた言葉には、求めたときにAIがコメントを返してくれるので、自分では当たり前だと思っていたことに、別の角度から光が当たることもあります。
ChatGPTやClaudeでの会話から、そのままStockrに気づきを記録することもできます。詳しくはChatGPTとの対話を「自分のもの」にする方法で紹介しています。書きためた記録は「再発見」の機能で過去のストックが自動で戻ってくるので、少し前の自分が書いた1行に、また出会えます。
アプリ選びから考えたい方には、ジャーナリングアプリの選び方の記事があります。
AIに振り返りを任せきりにするのではなく、AIに聞いてもらいながら、最後の1行は自分で書く。まずは今夜、12の頼み方からひとつ選んで、AIに貼りつけてみませんか。