10月27日から、読書週間が始まります。秋の夜長に1冊読み終えて、「面白かった」と本を閉じたまま、数週間後に誰かから「どんな本だった?」と聞かれて、ほとんど出てこなかった。そんな経験はないでしょうか。
読んだ内容が残らないと、読書の時間そのものが無駄だったような気持ちになりがちです。ただ、読書ノートをつけようとすると、要約を丁寧にまとめるところで手が重くなり、2冊目からは開かなくなってしまうこともよくあります。そこでこの記事では、要約はいっさい書かず、3行だけ書く読書ノートを紹介します。
読書ノートが重くなるのは、本の中身を写そうとするから
読書ノートというと、章ごとの要約や、線を引いた箇所の書き写しを思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど、本の中身は本を開けばいつでも確かめられます。ノートに写しても、あとから読み返す理由は生まれにくく、写す作業ばかりが増えて続かなくなります。
ノートに残したいのは、本の外にある部分です。読んでいる最中に自分がどこで手を止めたのか、そのとき自分のどんな出来事を思い出したのか、読み終えて何かひとつ変えるとしたら何か。これは、その本を読んだ自分にしか書けないことで、数か月後に読み返したときにも「あのとき自分はこう考えていた」と再会できる材料になります。
読書ノートは3行で足ります
書くのは、次の3行だけです。本を閉じた直後に、5分かけずに書いてみてください。
- いちばん刺さった一文:本のなかで、いちばん手が止まった一文を、そのまま写します。1文だけで構いません。
- 思い出した自分の出来事:その一文を読んで、自分のどんな場面を思い出したかを書きます。「先週の会議で」のように、具体的な出来事がよいです。
- 明日ひとつ変えること:読み終えて、明日からひとつ変えるとしたら何かを書きます。小さなことで構いません。
大切なのは、2行目の「自分の出来事」です。出来事と結びつけて書いておくと、あとから読み返したときに、本の内容ではなく、そのときの自分の状況ごと思い出せます。感想を書くときも、「面白かった」で止めずに、何が起きたときに面白いと感じたのかを一言添えると、言葉が自分のものになっていきます。
本のタイプ別・書き出しテンプレート
何も浮かばないときは、本のタイプに合わせて、次の書き出しをそのまま借りてみてください。
| 本のタイプ | 1行目の書き出し | 2行目の書き出し | 3行目の書き出し |
|---|---|---|---|
| ビジネス書・実用書 | いちばん使えそうだと思ったのは「…」 | これは、先週の( )の場面に当てはまる | 明日、( )のときに1回だけ試す |
| 小説 | いちばん残った場面は「…」 | この人物の迷い方は、( )のときの自分に似ている | 登場人物のように、( )をひとつ言ってみる |
| エッセイ・随筆 | 声に出したくなった一文は「…」 | この感じは、( )の日の気持ちと同じだった | 今夜、( )の時間を15分とってみる |
| 心理・自己啓発 | 自分にも当てはまると思ったのは「…」 | 最近の( )で、まさにこの状態だった | 次に( )になったら、この考え方を思い出す |
| 漫画 | いちばん残ったセリフは「…」 | このセリフを、( )のときの自分に言ってあげたい | 今週中に、( )をやってみる |
( )の部分に、最近の自分の出来事や相手の名前を入れるだけで、3行がそろいます。
記入例を3つ
実際に書くと、こんな雰囲気になります。
仕事術の本を読んだ会社員の例
- 「会議は、決めることを最初の一言で言う」
- 先週の定例で、話し始めてから結論まで5分かかって、途中で相手の手が止まっていた
- 明日の朝会で、最初の一言を「今日決めたいのは( )です」にする
小説を読んだ大学生の例
- 「大丈夫じゃないのに、大丈夫って言っちゃうんだよね」
- 先月、友だちに相談されたとき、自分も同じ返事をしていた
- 次に聞かれたら、「ちょっと疲れてる」と言ってみる
エッセイを読んだ子育て中の人の例
- 「急がないことが、いちばんの贅沢だった」
- 朝、玄関で子どもを急かして、ふたりとも機嫌が悪くなった
- 明日は靴を履く時間を5分多めに見てみる
どれも、本の内容の説明はひとつも入っていません。それでも、数か月後に読み返せば、どの本のどこで何を考えていたかを思い出せるはずです。
読み終えて1週間後に、ノートを見ずに思い出す1分をつくる
もう一歩、記憶に残したいときは、読み終えて1週間ほどたった日に、ノートを見ないで、その本で覚えていることを1分だけ書き出すのがおすすめです。出てこなかったところは、ノートの3行や本を見て確かめます。
大学生を対象にした実験報告に、文章を読んだあとで何度も読み直した群よりも、何も見ずに思い出す練習をした群のほうが、1週間後に内容を多く思い出せた、というものがあります。この実験が調べたのは、短い文章の学習で、読書ノートそのものの効果を調べたものではありません。ただ、「読み返す」より「思い出してから確かめる」ほうが記憶に残りやすい、という見方は、この1分を置く理由の参考になります。本を読んでも頭に入らないと感じるときの手順は、読書が頭に入らない人へでも詳しく紹介しています。
ふりかえりの習慣化を、AIが伴走する。Stockrをはじめる書いた3行に、あとで会えるようにしておく
3行を書いても、ノートを開く機会がなければ、結局は忘れてしまいます。読書ノートは、書くことよりもあとで会えるかどうかで価値が決まります。
ふりかえりジャーナリングアプリのStockrは、出来事や気づきを1行から残せるアプリです。出来事、感じたこと・考えたこと、学んだこと、の3つの順に書ける型があり、書けない日はAIと話しながら文章にまとめることもできます。さらに「再発見」の機能で、過去に書いたストックが毎日3件ほど届くので、数週間前に読んだ本の3行にも、思いがけず出会い直せます。読書ノート専用のアプリではありませんが、本の3行を日々のストックのひとつとして残しておくと、読んだ本が今の自分の出来事とつながっていきます。
なお、Stockrには無料プランはなく、7日間の無料体験から使い始めます。まずは次の1冊を読み終えたときに、3行だけ書いてみてください。書いた言葉を日々のふりかえりにつなげる方法は、気づきの例文30選や、ふりかえりの質問一覧も参考になります。
まとめ:要約をやめて、3行だけ残す
読んだ本が残らないのは、記憶に頼りすぎているからでも、ノートの書き方が足りないからでもなく、残したい部分が本の中身になってしまっていることが多いからです。いちばん刺さった一文、思い出した自分の出来事、明日ひとつ変えること。この3行だけで、本は「読んだもの」から「自分の言葉とつながったもの」に変わっていきます。次に本を閉じたときに、まず1行目だけでも書いてみませんか。